2012年02月23日

妊娠中の性行為(特別編)

 前回、『妊娠中の性行為』というタイトルで整体の視点からみた妊娠中の性行為に対する考えを述べましたが、今回は現代医学の視点では、『妊娠中の性行為』をどのような捉え方をしているのか参考までに調べてみました。
妊娠中の性欲は、一般的に妊娠初期には減少して、妊娠中期には高揚し、妊娠後期になりますと減退する傾向があるようです。
整体の視点からみた、控えめにしていただきたい時期と楽しんでいただきたい時期という意味においても、性欲の波と一致するようなので、本能の要求が高まりやすい妊娠の時期というのは、性の欲求も身体の自然の営みに沿っているようです。
妊娠初期はつわりや倦怠感、乳房の痛みなどでその気にはなれず、性行為に集中できないという理由もあるでしょう。
妊娠中期になりますと肉体的、精神的にも余裕が出てきて性的関心がよみがえってくる人が多いようです。
そしてお腹が大きくなる妊娠後期には痛みや不快感を伴ったり、出産への精神的な緊張から性的関心がしだいに減少していく人が多いようです。

さて、まず素朴な疑問として
妊娠中に性行為をしてよいのか? お腹の赤ちゃんに悪い影響はないのか? 
というところが心配な点です。
「性行為をしたくても、お腹の赤ちゃんが心配で楽しめない、子宮に刺激が伝わって流産や早産の原因になるのではないか?」
という不安を抱えているご夫婦は多いと思います。
お腹に赤ちゃんがいるとなれば、いろいろと心配になるのは当然なことです。
ですが実際のところ、性行為が流産や早産につながることはないと言われています。
『妊娠初期は胎盤がまだ安定していないので控えるべき』という考え方もありますが、性行為が直接流産や早産の原因になることはないようです。
ですが、やはり注意していただきたいことがいくつかあります。
その注意点を簡単ではありますがまとめてみました。


<妊娠中の性行為を安全に楽しむための注意事項>
【清潔にする】
雑菌への感染などを防ぐ為に性行為前には手洗いや入浴を行なって清潔を心がけてください。

【身体を冷やさない】
身体が冷えますとお腹が張りやすくなり、子宮が緊張しやすくなりますので、身体を冷やさない為の環境作りを心がけ、そして長時間裸のままでいないようにも注意しましょう。

【コンドームをつける】
精液の中には陣痛を促す成分と同様の「プロスタグランディン」という成分が含まれていて、子宮を収縮させることがわかっているようです。
また、子宮内に精液と一緒に雑菌が入ってしまいますと、卵膜が感染を起こして破れてしまうトラブルも考えられます。
最近では、早産や破水には細菌感染が関わることがわかってきました。
通常、膣の中にはデーデルライン桿菌(かんきん)という乳酸菌が棲んでいて、他の細菌や病原菌が繁殖しないように膣内の環境を守っているのですが、前期破水を起こしたり、そうした兆候があった人の膣を調べると、このデーデルライン桿菌が少なくなっていて、他の雑菌が増えているというケースが多いようなのです。
雑菌には、クラミジアや淋菌など、性交渉で感染するものも含まれます。
1回の射精での精液では、早産・流産に至るだけの量ではないようですが、頻回の性交により早産しやすい状態になることがあると言われています。
すべての雑菌が早産・流産の原因として結びつくわけではないと思いますが、万全を期す為に、妊娠中の性行為には必ずコンドームをつけましょう。

【体位について】
妊娠中に行なう性行為の体位に関しては、いろいろなことが言われていますが、絶対にこうしないといけない、という決まりは特にありません。
ですが、妊婦さんが苦しくならないように工夫しながら優しく行なって、なるべくリラックスできる体位を心がけてください。
お腹を圧迫しない、お腹に負担をかけないことが、妊娠中の性行為の基本です。
ご主人さんの体重が妊婦さんのお腹に乗るような体位はやめましょう。

安全な体位の例として、
例①:妊婦さんは、身体を横向きにして寝ながら膝を少し曲げます。
   そして、後ろからご主人さんにアプローチしてもらいます。
   お腹は圧迫されることなく、抱き締められる安心感もあって、妊婦さんにとって楽な
   体位です。
例②:ご主人さんが仰向けに寝て、妊婦さんが上に座る体位も、妊婦さん自らが深さを
   調整できて、お腹に負担をかけないのでお勧めです。

【深く挿入しない】
深い挿入は、お腹が張る原因になります。
男性が深く挿入しすぎないようにゆっくりと浅く挿入し、深さをコントロールしてあげてください。

【乳首への刺激は控えめにする】
妊娠中期以降は、乳首への刺激はホルモンの影響で子宮収縮を起こしやすくするため、赤ちゃんへの影響も考えて激しくならないように注意することが大切です。
また、外陰部もあまり刺激しすぎないようにしましょう。

【激しい行為は避ける】
妊娠中は性器全体が充血していて、傷つきやすい状態なので、優しい性行為を心がけてください。
器具を使うことはやめましょう。

【長時間の性行為はしない】
長時間の性行為による膣内への挿入は、子宮を収縮させることがありますので挿入の時間は控えめにしてください。
そして、疲労を感じない、疲労が残らない程度の時間で性行為を終えてください。

【異常感を感じたらすぐに中止する】
性行為の途中で、お腹の張りを感じたり、出血があったりした場合はすぐに中止してください。

【安静の指導を受けている場合は控える】
切迫流産や早産、感染症などのリスクを抱えていて、医師から安静などの指導を受けている方はなるべく控えてください。
また、以前に流産や早産を経験されている方は注意が必要です。

【妊娠初期の性行為は注意する】
妊娠初期は、受精卵が着床したばかりの不安定な時期、とりわけ、性器周辺の粘膜が充血していて、ちょっとした刺激でも出血しやすく、流産の可能性もあります。
この時期はなるべく膣を刺激しない方がよいです。
したがって、胎盤が完成する妊娠16週頃までは、激しい性行為は控えるようにしてください。

【妊娠後期の性行為も注意する】
妊娠後期も、初期と同じような注意が必要です。
出産に備えて、膣も子宮も柔らかくなっていて、破水や感染が起こりやすくなっています。
そこに性行為によって刺激が加われば、子宮収縮→破水→早産となることも考えられます。
激しい性行為は控えるようにしてください。
膣はとても充血していて出血を起こしやすいです。
粘膜を傷つけないように気を付けましょう。
時間は短めに。そして、お腹が張ってきたらすぐに中止してください。
乳首への刺激も子宮収縮を招きますから、この時期は避けなくてはなりません。
もし出血があった場合は、医師に相談してその後の性行為が安全かどうかを確認してください。
子宮内からの出血でなければ、妊娠経過に影響は出ないことがほとんどですが、ご自身ではどこからの出血か確認できないと思いますので、もし出血が見られたら性行為はすぐに中止してください。

【臨月に入ったら行なわない】
臨月(36週から)になりますと、赤ちゃんが下がり始め、子宮口も開いてきます。
このとき性行為を行ないますと破水や陣痛を誘発する可能性がありますので性行為はしないでください。


<よくある疑問>
【男性性器の挿入が赤ちゃんを傷つけないか不安】
赤ちゃんは子宮と羊水に守られていますので問題はありません。
また子宮口の粘液が膣との間を遮断しているので男性性器の挿入によって赤ちゃんを傷つけることはありません。
男性性器が当たる感じがするのは卵膜というもので、この膜も男性性器でつついた程度では破れません。
ですが、基本はなるべく奥に当たらないように浅くし、深く挿入しないことです。

【オーガズムの影響】
子宮の血液量が増える、生殖器が充血するオーガズムによって子宮が収縮することが考えられます。
子宮が収縮するようなレベルまで感じるのはあまりよいことではありませんが、オーガズムによってお腹が張ったとしても、流産までの心配はありません。

【性行為中の胎動】
性行為の動きにつられて、眠ってしまう赤ちゃんが多いようです。
また逆に元気になって、よく動く赤ちゃんもいることでしょう。
赤ちゃんからの「苦しい」というサインではないようです。


<ご夫婦へのアドバイス>
妊娠中の性行為は、回数より内容を優先にすることが大切です。
楽しむこと、感じることよりもお互いの絆を確かめ合う行為として考えましょう。
ご夫婦のうちのどちらかが、『妊娠中の性行為はお腹の赤ちゃんが気になって気が進まない』ということもあるでしょう。
『万が一のことを考えると不安』、これはみなさんが思うことです。
それによって、性欲が満たされないことで相手を攻めるようなことはしないでください。
特に妊娠中である女性の気持ちの方を尊重してあげてください。
男性の性欲処理を妊娠中の女性に強要することはよくありません。
必ずしも性行為ではなくて、お互いの身体に優しく触れたり、抱きしめたりといった他のスキンシップの方法で、心の満足の方を優先させながら楽しむのもよいのではないかと思います。
性行為が原因で夫婦仲がうまくいかなくなってしまうと、お腹の赤ちゃんも悲しみます。
お腹の赤ちゃんにとって、もっとも嬉しいことはママとパパの仲が良いことなのです。
高まった性欲でどうしようもないときは、お互いに相談をして、納得できる解決策と方法を話し合いましょう。
妊娠中に限らずですが、お互いの気持ちを理解し、いたわり合うことが大切です。
妊娠中に夫婦が仲良くスキンシップすることは、赤ちゃんにとってよい影響を与えるとも言われています。
妊娠中の性行為には、いくつか注意しなければならないことがありますが、それがわかっていれば問題はありません。
妊娠生活は長い結婚生活からみれば、ほんの一瞬の期間です。
このときを楽しみながら大切に過ごしましょう。
この期間のお互いをいたわる過ごし方、やりとりが、これからの育児生活、そして長い結婚生活にとって、実り多いものになることでしょう。


★お付き合いくださり、ありがとうございました・・・感謝していますface02

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