2010年07月29日

愉気の心得

 愉気をするときの心は、『天心』の状態でなければいけないとされています。

『天心』とは嫉妬や怒り、気張りなど、日常の煩雑な心で曇っていない、赤ちゃんのような純粋で澄んだ素直な心のことをいいます。

どんなに荒天でも、雲の上はいつも晴れているものです。

心が乱れているとき、深く静かな呼吸をして心を落ち着かせることができれば、いつでも天心を取り戻すことができます。

愉気における相手の身体の悪い処に思わずパッと手が出てしまう、そういう無意識で本能的な直感というのは、何も雑念のない天心のような意識状態から生まれやすいのです。 

野口先生の教えの中で、「障子越しの陽の光のような愉気がよい」という口伝があります。

これは整体の稽古中によく言われる口伝なのですが、天気のよい日に障子越しに差し込んでくる陽の光、あのほんわかとした穏やかなイメージの感覚で、愉気を行なうのです。

その他の余計な感情は流入しないようにします。

ですから、「相手は**病だから、ここに手を当てるべきだ」とか、「早く治してあげよう」という意図や「なんとかして治してあげたい」という感情も愉気の世界においては余計なものとなります。

「治るだろうか」という疑念や不安も余分ですし、「絶対に治る」という頑なな信念みたいなものも不要なのです。

このように説明しますと愉気をする人は冷酷な気持ちにならなければいけないのかと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。

愉気という行為そのものが既に相手のことを思う愛情の行為です。

これに疑いの余地はありません。

ですが、「治してあげたい」「治るかな」「絶対に治りますように」という心も愉気の世界においては雑念でしかないのです。

実際、そういう気持ちでも相手の身体との同調の妨げになるのです。

では何に向かって、何に対して愉気をするのか?

それは、相手の身体の自然性なのです。

自然の前では、余計な作為は好結果の妨げとなります。

ただ相手の身体が自然性を発揮されるように『天心』の心でもって愉気をするのです。

とはいいましても、いきなりそういう心になるということは、一般的にはなかなか難しいと思います。

「本当に自分の愉気でよいのだろうか?」「逆に悪くなったりしないかな?」というような心配は、消そうと思ってもなかなか消えるものではありません。

こうした心のあり方をコントロールするのはとても難しく、コントロールしようとすると、かえって不安や心配の念などの雑念が強くなることもあります。

そういう場合、『コントロールしよう』、などと気張らず、ただ意識を“今、在ること”に向けるのです。

そのために、重要になってくるのが呼吸なのです。

できるだけ深くて長い、乱れのない呼吸の状態をつくることによって、自身を『天心』の状態に近づけることできます。

それでも、愉気の最中に「相手の病気をなんとか治したい」という責任感で気張ってしまったり、「本当に大丈夫かしら?」という不安な気持ちでいっぱいになるかもしれません。

相手のことを思ってのことなので、それはそれで良いでしょう。

それでも、ただ手を当ててゆったりと呼吸してみてください。

長く、深い呼吸さえ保っていれば、いつのまにか消えていきます。

こちらが長く深い呼吸を保って、相手の呼吸のリズムに同調させていきますと、その深さに相手の心気が感応してきて、生命の本来のものである“元気”が互いの中に高まってきます。

これを本当の愉気と呼ぶのです。

本当の意味での愉気というのは、手当てをする人の手からただ一方的に気を送り込むといった行為ではありません。

愉気という言葉に端的にあらわれているように、これは愉しい気で相手を包むこと、あるいは互いが愉快な気で感応しあうことを意味しているのです。

ですから、手を当てるときに、自分に対してであれ、他人に対してであれ、できるだけ心を穏やかにして、とにかくゆったりと深い息を保つことを心がけてください。

さらに、野口先生の口伝の中で「整体とは、命に対する礼儀であり、魂に対する作法である」という言葉があります。

愉気をするときの心構えとして、「今、自分は生命そのものに向かい合っているのだ」という心の張りだけは、失わないように心がけましょう。


★お付き合いくださり、ありがとうございました・・・感謝していますface02

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